Discussion about this post

User's avatar
Mari's avatar
Jan 30Edited

これを読んで、最近調べた内容に出て来た事柄と共通項がいくつかあったので、考えはまとまっていないけれどもコメントさせてもらいたいと思います。

調べていた内容とは、日本の小学校で学ぶ道徳と、イギリスの小学校で学ぶPSHE (個人・社会・健康教育 / Personal, Social, Health and Economic education)の違いです。少し長くなりますが、わかりやすいと思うのでAIの説明を引用します。

                                            *

---

キーステージ1のPSHEのカリキュラムには、はっきりとこういう言葉が並びます(意訳ですが、ニュアンスは原文どおり)。

・ルールは公平であるとは限らない

・人は自分の体について選択する権利をもつ

・嫌なことにはNOと言ってよい

・信頼できる大人は一人とは限らない

・家族の形はさまざまである

                                            *

ルールは“守るもの”という前に、“誰のためにあるかを確かめるもの”

日本の道徳では、

「ルールはみんなのためにある」

「守ることが大切」

が出発点になります。疑問はあっても、まず飲み込む方向。

PSHEでは、

「ルールは人が作ったものだから、意図せず誰かを困らせることがある」

「このルールで、困っている人はいるかな?」

「守れない人が悪い、と決めつけていないかな?」

「このルールで、ぼくは/わたしは困っている、どうしたら安全に伝えられるかな?」

「ルールを変えるかもしれない人は誰かな?先生?学校?別の大人?」

「ひとりで言う?友だちと一緒に言う?」

と、ルールは人を守るためのものだから、守れない人が出たら調整が必要であることを学びます。

                                            *

感情は“コントロール”より“読み取って伝えるもの”

日本の道徳は「怒らない」「がまんする」「気持ちを切り替える」に寄りがちです。

PSHEでは、

「いま自分は怒っている」

「それをどう言葉にするか」

「安全に伝える方法は何か」

をやります。感情は抑圧対象ではなく、情報として扱われます。

                                            *

NOと言う練習がカリキュラムに入っている

PSHEでは、

・嫌なタッチは断っていい

・友だちでもNOと言っていい

・大人でも“変だ”と思ったら言っていい

という前提を置きます。

日本の道徳は「相手の気持ちを考える」が強すぎて、自分の境界線が後回しになりやすい。

                                            *

助けを求めることは“弱さ”ではなく“スキル”

日本では「自分でがんばる」「迷惑をかけない」が美徳として教えられます。 PSHEでは、「誰に、どうやって助けを求めるか」を具体的に練習します。

しかも「一人目がダメなら二人目、三人目」という現実的設計。

                                            *

家族の形が最初から多様

KS1のPSHEでは、

・ひとり親

・養子

・祖父母と暮らす

・親が同性カップル

といった話が、特別扱いされずに出てきます。 「普通の家族」と「それ以外」という分け方を、そもそも作らない。

                                            *

「よい/わるい」より「安全/不安全」

日本の道徳は道徳判断(善悪)を重視します。

PSHEはリスク判断です。

「それは悪いか?」より 「それは安全か?」

「自分と相手を守る行動か?」

という問いが先に立つ。これは性的同意、オンライン行動、友人関係すべてに通底します。

                                            *

そして最後に、かなり重要な違い。

大人や制度は“間違える存在”として登場する。

日本の道徳では、教師・学校・ルールは基本的に正しい側です。

PSHEでは、

・大人でも間違える

・ルールが全員にとって公平とは限らない

・だから困ったら外部の大人にも相談する

という前提が、子ども向けに翻訳されている。

---

                                            *

思った以上に全て違うのです。そこで、誰がどのような理論をもとにこれらを作ったのか調べてみました。

                                            *

PSHEは、発達心理学(ピアジェ、エリクソン等)、アタッチメント理論(愛着理論)、認知行動療法(CBT)といったものをベースにしており、PSHE Association(教師、健康増進の専門家、心理学者などで構成される慈善団体)、Public Health England(公衆衛生局)、NHS(国民保健サービス)、NSPCC(英国児童虐待防止協会)が関与・監修しているようです。

                                            *

道徳ですが、その作成に関しては政治家・文科省・保守系学者が主導権を握っています。そもそもは1958年の岸信介内閣の時の文部大臣、松永東と元文部大臣、天野貞祐が中心となって、現在の道徳にもつながる「4つの柱(「礼儀」「誠実」「勤勉」「孝行(家族愛)」「公徳心」など)」というものを指導要領に盛り込み、始められたそうです。これはよく見ると、教育勅語、修身、からほぼ同じものを抜き出しているように見えます。

孝行:

天皇の子民として親を敬う (修身)

→家族の情愛を深め家庭を良くする(道徳)

勤勉:

国を富ませ強くするために働く(修身)

→自己の向上と社会の発展のために励む(道徳)

公徳心:

天皇の持ち物である公共物を大切にする(修身)

→公衆道徳を守りより良い社会を作る(道徳)

愛国心:

天皇への忠誠としての愛国(修身)

→ 郷土を愛し国際社会に貢献する愛国(道徳)

「国家(天皇)のために」という言葉を、「個人の幸せや社会の調和のために」という言葉に書き換えているようです。

                                            *

そして最近道徳が正式に教科になったようですが、岸信介の時代に特設され、安倍晋三の時代に教科化されたという流れは、これは個人的な感想ですが、まさに統一協会案件のように見えます。教育勅語を復活させるなんてダメだ、などと反対してみても、もう既に道徳としてこっそり統一協会的価値観を日本の小学生全員、1958年からですから今70歳か80歳ぐらいまでの人全員に植え付けられてしまっている、と考えられなくはない気がします。

しかし統一協会はそもそも一体こんなことをして何をしたいのでしょうか?彼らの教義のゴールは、創始者の文鮮明を「再臨主(メシア)」とし、彼を中心とした一つの世界的な家族国家を作ることだそうです。教団の教義そのものを小学校で教えることができないので、「親孝行」「家族の絆」「純潔」「愛国心」といった道徳的な言葉に置き換える。そして教団が求めるのは、自律的な思考ではなく従順さなので、「ルールは守るもの」という刷り込みは、教祖の指示に疑問を持たせない土壌を作るんだそうです。

日本の教科書は先生用のものは細かな指示や正解などがびっしり書き込まれていますが、やはり道徳の教科書も誘導のシナリオが詳細に書かれているようで苦しんでいる先生もいるようです。でもおそらくそれは生徒には見えませんし、ただ成績のために誘導されるがまま、なのかもしれません。

いずれにせよ、小学校の道徳の中で「ルールは従うもの」と刷り込まれ、ひどい校則や体罰がまかり通っているのを嫌というほど体感させられて、変えられるわけがないと身に染み込んでいる。そういう人に「変えようよ」と言っても響かない。どうすればいいのかはわからないのですが、そういうことをつらつらと思いました。

baby miko🐣's avatar

※ 1月17日追記:

初出の本文中の表現で「西洋の」とあったものを「世界の」に変更しました。次回以降に説明予定です

1 more comment...

No posts

Ready for more?